マレーシア向けにFACEBOOKページの広告を出してみました

弊社の小売り事業は、もともとタオバオの店舗をベースにしています。
タオバオが一定規模になると、弊社の店長に、阿里旺旺ではなくWechatなどで直接問い合わせ・交渉になるケースも増え、基本的にはタオバオを軸にマーケティングし、その他のチャネルも活用してコンバージョンを獲得するような流れになっています。

2010年ごろは、独自ドメインの越境ECサイトのお手伝いもしていましたが、中国向けについてはかなり苦労しました。そして、今では、中国の個人消費者向けのWebマーケティングについては、以下のような特殊な環境のために難しいというのが定説になっていると思われます。

  • もちろんAdwordsもFacebookも使えない(まあ、壁越えして見ている人もいますが、一般消費者ではないですね)
  • 百度などのリスティング広告は、金額が高いわりにコンバージョン率が低く、ECには向かない(もちろん商材にもよりますが)
  • SNSの影響力が強いため、KOL(Key Opinion Leader)を活用するほうが効率的
  • すでに認知されている商品なら、タオバオなどのECプラットフォーム上で露出を高めたほうがコンバージョンする私は、現在、特に健康食品や化粧品の世界において、多くの中国人と日本の中小メーカーが手掛けている中国マーケティングのうちの多くは、ネットワークビジネス、MLMに近いものと捉えています。
  • KOLが販売金額による報酬になると、実質MLMの1レイヤー
  • 認知度が上がってから他社に同じ商品を販売され、売上を持っていかれるのを避けるため、OEM/ODMを好むまあ、Webのマス広告でもバズマーケティングでも、怪しいものは山ほどある時代ですし。詐欺やネズミ講でなければ別にとやかく言うつもりはないです。
    身近な人の言葉、より自分に近い人の言葉を信じる傾向が強い中国、マス広告の費用がやたら高い中国ですから、MLM的なマーケティングはやっぱり合っているのでしょう。

 

さて、ここからが本日のテーマです。

弊社がマレーシア向けに商品販売を始めるにあたり、何から着手しようか、いろいろ悩みました。

弊社のマレーシア人スタッフは、「Facebookがいい」というのですが、私は古い人間なので、「決済機能の問題もあるし、ランディングサイトもない状態でねぇ。。。」と思ってしまったわけです。

現地モールへの出店とかも考えたのですが、まあ、まずはすぐにできることとして、他言語のECサイトを準備しました。
https://weiyi.jp/shop/

なんとjpドメイン。。。たまたま手元にあったので、うっかりccTLDを使ったわけですが、さすがにこれはgTLDを使うべきだったかと反省。SEOできないわけではないので。。。
まあ、ある程度目処が着いたらサーバーを移そうと思うので、そのときに切り替えますかね。。。

まあ、とりあえずランディングサイトは準備できたので、こちらのFacebookページについて、広告を出し始めました。
https://www.facebook.com/jiojapan/

東南アジアについては、Adwordsも使えるけど、Facebook広告が費用対効果が良いという話はよくその辺に転がっているので、Facebook広告自体は当然の選択肢ですね。

 

さて、実際にFacebook広告を出してみて、ようやく、スタッフが「Facebookがいい」と言っていた意味が分かりました。

とにかく、多くの人がどんどんコメントしていきます。ただし、「pm」とだけ。もちろん「Private Message」という意味なのですが、実際のところの意味は、「とりあえず価格を教えて」ですね。
最近は、しっかり「price」とか「价格」とか書いてくる人も増えてきましたが。

そして、意外とみんなクレジットカードを使わない。
「持っていない」という人が多いらしいですが、マレーシアのUOBで銀行口座開設すればMasterのデビットカードはついてくるようですし、普及率より、現金文化の問題ではないかと思います。

そうすると、Facebookでチャットをすませ、わざわざ弊社のECサイトにも行かなくなります。
結果、

  • Facebookでチャット
  • 商品、数量、価格を交渉
  • 銀行口座に現金振り込み
  • 商品発送

という、決済方法以外は、中国向け「代购」と正に同じ状況が発生しています。

広告については、弊社スタッフとの相性を考慮し、最初ターゲットはクアラルンプールとジョホール州の20~40歳女性。結果として、中華系の方からの問い合わせが多いので、そのあたりの影響もあるかもしれません。

FACEBOOKページについての広告は、「いいね」1件獲得が5~10円、そのうちのかなりの割合でチャットが発生しており、商品購入に結びついているので、「東南アジアはFACEBOOK広告が良い」というのは、しっかり体感できました。

ただ、これだけ問い合わせが多いと、スタッフの余力も考慮しながら広告を出さないといけませんね。

 

なお、Adwordsや、Facebookでのウェブサイトの宣伝、Facebookの高校ページの宣伝などもいろいろ試しておりますので、このあたりの状況については、また今後、触れていきたいと思います。

マレーシアからの問い合わせの傾向、商品などもまた後日、まとめていきたいと思います。

天猫国際(Tmall国際)日系小売企業の売上ランキング

ずいぶん長い間、ブログを更新しておりませんでした。

ここ最近、越境EC保税区の状況が二転三転しており、まだまだ予断を許さない状況ですが、まあ、健康食品・化粧品の保税倉庫在庫モデルは、とりあえず1年間だけ猶予をもらえたようですね。
中国系の各社とも、保税に在庫するモデルから、直送(と言いながら、保税区を通過させる)モデルへの移行が一気に進んでおりますので、これからは、このモデルが本当に中央政府公認になるかどうかがポイントといったところでしょう。

 

ところで、弊社でも、いくつかの企業様の中国事業の業務支援をさせていただく傍ら、いまもちゃんと自社で中国向け越境ECでの販売を続けております。

弊社自身での販売は、EMS直送に特化しておりますので、これから、EMSの値上げに対してちゃんと価格転嫁できるかどうかとか、EMSの通関の今後の展開が非常に気になるところです。

弊社の販売サイトは、現時点では、相変わらずタオバオとWechatが中心ですが、某中国大手プラットフォームでの出店審査は終わっており、まもなく出店予定です。日本の出店代行を通すと、いろいろ会社の規模とか商品とかうるさくチェックされそうですが、中国人が自分で出店申請すると、意外と簡単に審査が通るものですね。道理で、中国人が経営している日本の無名の会社がみんな出店できているわけだ。。。

あと、独自ドメインでの販売サイトも、システムの構築は8割がた完了しており、とりあえず日中英の3言語で、こっちもボチボチ開始する予定です。
本当は、Wechatpayでの越境決済(Alipay国際のように外貨に両替されて入金)とのつなぎ込みをしたかったのですが、ここは調整に少し時間がかかっており、とりあえず、まだPaypal決済のみです。まあ、お客さんがちゃんとPaypalアカウントを作ってくれれば、Paypalでも銀聯で支払ってもらってこちらは日本円で受け取ることはできるのですが、お客さんが面倒くさがって脱落するので、やはり、WechatpayかAlipayは必須ですね。。。

なお、システム自体は、多ドメイン多店舗を管理できるようにしておりますので、もしシステム相乗りで自社サイトがほしい方がいらっしゃいましたら、お声がけください。

 

閑話休題。

今回の保税区の騒ぎで、天猫(Tmall)国際の各店舗の売り上げにどんな影響が出ているのかと思い、久しぶりに某ツールで各社の最近30日の売り上げを確認してみました。
このツールの数字の精度がそこまで高くないことなども把握しておりますので、まあ、あくまで参考程度ということで。

■ 先頭グループ

- マツモトキヨシ
- 爽快ドラッグ

→ 思っていたほど売上金額は伸びていませんが、現在、2強という感じですね。

■ 1馬身差

- アットコスメ

→ 出店当初は苦戦している気配でしたが、やはり、ブランド力ですね。

■ 1馬身差

- ケンコーコム
- キリン堂

→ この辺は抜きつ抜かれつという感じでしょうか。

■ 1/2馬身差

- 東京MXテレビ

→ こっちの業界の人から見ると、まったく想定外の健闘ですね。自社運営っぽいし、一度、お話をお伺いしたいものです。

- (33号農場)

→ 中国系ですが、老舗なので定点観測。
ここは売上高の波が激しいので、そのうちまたトップになったりするのでしょう。
また、〇本〇方や〇ージ〇〇バーの店舗などもおそらくこちらが運営しているので、すべて足せば、今もダントツのトップですかね。。。

■ 大差

- LOHACO
- AEON
- サンドラッグ

→ なんか、冴えないですね。。。

- LAOX

→ ずっと先頭だったはずが、いつの間に。保税区の騒ぎの関係なのか、資本関係の問題なのか。。。

 

天猫の各店舗のトップ画面の一番下に、運営会社が表示されていますが、やはり、宝尊強いですね。メーカー直販店舗含め、この運営会社と、日本側の営業サイト等を見比べると、いろいろ面白そうです。

爽快ドラッグ、ケンコーコム、東京MXテレビなどは、運営会社が記載されていないので、自社運営でしょうかね。

 

保税区の騒ぎが一段落して、年中大促を過ぎると、また形勢が変わってくるものと思われますので、今後もまた定期的に観測してみたいと思います。
最近、メーカーやブランドのショップが一気に増えましたので、そちらの数字も、そのうち定期チェック対象にしようかな。(現状、某お菓子屋さんで、先頭から2馬身差ぐらいみたいですが)

「ガイアの夜明け」での「双11」を見て思ったこと

昨日のテレビ東京の「ガイアの夜明け」で、キリン堂の双11(シングルデー)が特集されていましたね。

http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber3/preview_20141216.html

番組上は、売上の途中経過の報告として、日本円で1億5700万円というところまで出ていました。

 

このキリン堂の「凄さ」は、決して売上金額ではなく、Revuerのシャンプー5万本、コンディショナー2.5万本を杭州(?)の保税区(跨境EC特区:跨境贸易电子商务服务试点)に在庫し、売り切ったことでしょう。

http://bit.ly/1DK9qWG

http://bit.ly/1DKa4Dv

(違う色の商品だったような気もしますが。。。)

 

業界12位とはいえ、1000億円プレイヤーであるキリン堂の規模があれば、メーカーの協力を取り付けて、これだけの本数を手配して中国に飛ばすのは、一見、簡単なような気もします。

ただ、実際のところ、こういうことを手掛ける場合、片道切符で、全部中国で売り切る覚悟がないと手が出せません。(理論上は保税区から日本に商品を戻せますが、EC特区から商品を外に出す手続きが煩雑。EC特区から海外に出す手続きさえできてしまえば、コンテナの場合、運賃は大したことないですが、とにかくルールがまだ固まっていないので、最初は手続きの手間が大変で、本当に戻せるか保証もありません。)

そして、それよりも怖いのが関税なのです。

番組の中でも、途中で「課税されるかも知れない」という話が出てきて担当者の方が困惑する場面がありました。

中国向けに日用雑貨等の貿易に関わっている方であれば常識ですが、もともと商業輸入する場合、せっけんやシャンプーなど、肌に使うものは、中国では「化粧品」に分類されます。

化粧品に分類されるということは、商業輸入の場合は、CFDA(国家食品薬品監督管理総局)の許可証が必要になるということです。もちろん、関税も化粧品の関税が適用されるのですが、商業輸入においては、CFDAのハードルが高いため、そちらがすぐに話題になります。小さな会社が石鹸の輸入をやる場合は、「洗濯石鹸」ということにして無理くり持ち込むケースなども見られますね。

さて、個人輸入の場合は、CFDAの許可がないものでも個人の責任で輸入できるわけです。これを、EC特区に在庫して売るというのは、CFDAの規制に対するループホールなのです。

これを日本で例えると、ネット通販が禁止されている特定の医薬品や、日本では許可されていない未承認医薬品を、日本の保税倉庫に在庫して、日本国内のネット通販会社が日本国内向けに通販するようなものなのです。まあ、有りえないですよね。

で、中国では、国家が自らこういうループホールを作ったわけですが、その代わりに、課税はしっかり強化されていて、実際にお客様に販売した金額を正しく申告し、正しく納税する必要があります。

そして、これまで何度か書いてきたとおり、化粧品の簡易課税率は50%なので、お客様には100元未満で販売しないと課税されてしまうわけです。しかも、お客様が他の商品とあわせ買いした場合、合計で課税金額が50元を超えると課税されるわけですから、例えば送料込み99元で販売するのであれば、他の商品との同梱はできなくなるわけです。(まあ、もちろん納税すればOKですが)

番組上では、「課税されるかも」→「課税はない」という流れだけが放映されていたので、詳細は分かりませんが、もちろん、中国の運用会社や物流会社は、これに対してもいろいろなループホールを探し、税関当局と交渉します。

映像では、 商品を受け取った人の映像で、確か大量の商品の中にRevuerが混ざっていたような気がしますが、あれはEMSで日本から届いていたようにも見受けられましたので、今回のRevuerについては、商品単価やEC特区の基準から考えると、

  • Revuerだけの注文の場合は、1本ずつ1箱にして小口をわけて対応
  • 他商品とのあわせ買いの場合は、日本からEMS

というような対応をとったのではないかと想像されます。(あくまで想像です。もっと凄いことが起きていた可能性も、もちろんアリですが。)

 

Revuerは、日本での過去のマーケティング展開、商品単価と課税基準等を考慮したときに、双11に向いている商品です。それでも、

  • 絶対に売れるオムツとかさらに有名な商品で他社と価格の叩き合いをやるのではなく、Revuerクラスの商品を選択し、メーカーの協力を取り付けたこと
  • 商品単価、重量等で、EC特区に向いた商品を的確に選択したこと
  • このために7.5万本の商品を保税区に送りこんだこと

というこの判断力と勇気は、本当にすばらしいと思います。

 

全くの余談ですが、弊社の事例だと、某シャンプー/コンディショナーのシリーズにおいて、上海ルートで某社にお願いした際に、「何とかならないかなぁ」と相談したところ、なぜか

 


こういう商品の、赤、白、金のシャンプー、コンディショナーは雑貨扱い、ただし、


は、化粧品扱い、という、価格等よりもルックス重視の扱いになったことがあります。
(弊社では、最近、このルートでこういう商品を出していないので、上海が今もこれらの商品を雑貨扱いしてくれるかどうかは、定かではありません。。。)

 

EMSの場合は、理論上の課税基準はEC特区と変わらないですが、実際には、

  • 1000元未満であれば課税されない
  • 同じ商品が7個以上入っていたら課税される

など、いろんな都市伝説(?)が中国のお客様から弊社に連絡されてきます。

実際のところ、弊社の感覚では、高額商品を送って、課税される確率は10%ぐらいなので、まあ、時期によって対応は異なるけど、ランダムチェック、ただし、ぱっと見て大したことないものは課税しない、という感じでしょう。

ちなみに、弊社の場合、EMSでの課税についてはお客様の責任でお客様負担をお願いしていますが、Tmall国際とかは、裏でEMSで課税されても店舗側が面倒を見ることが求められたりしているようですね。

 

 

さて、今後、中国国内で抜群の知名度を誇る某社や、日本のEC大手など、同業種の強者がTmall国際に出店するという噂があります。

2013年7月のTmall国際プレオープンから出店しているケンコーコムや、それを追って出店したキリン堂にとって、これから、本当の正念場がやってきそうです。

日用品・化粧品における日本商品市場では、中国消費者の需要にまだまだ供給が追い付いていない側面もありますので、これからの展開が面白そうです。2000年ごろ、ECに対して冷ややかな視線を送っていたメーカーも、今はECが重要なチャネルになっているように、今は中国向け越境販売や並行輸入に冷ややかな視線を送り、阻止に走っているメーカーも、これから数年のうちに、このチャネルを重視するような展開になるのではないでしょうか。

 

双十一における日本商品

先週の双十一の喧騒も、ようやく一段落する時期になってきました。

と言っても、まだまだ出荷に追われている企業がたくさんあるでしょうし、末端の物流はまだしばらく落ち着かない状況と思われますが。。。

 

さて、今年の双十一の流通総額は57,114,214,058元とのことで、ギネス世界記録に認定されたようですね。

まあ、出荷も終わっていないし、今後、配達不能や不良品などのキャンセルもかなり出るでしょうから、これをもって1日の流通総額とするのはちょっと早すぎかもしれませんが。

それにしても、円安ということもありますが、日本円に直すと1兆円を超える金額。さすがに中国EC市場の4分の3を支配するアリババだけあり、金額からして桁違いです。

思えば、楽天が、1年間の流通総額で1兆円を超えたのがまだ3年前。それを、アリババは天猫とタオバオで1日で流通させてしまうわけですからね。。。

 

【好調な日本商品】

さて、その中で、ユニクロが総合ランキング5位に入るなど、日本の商品の販売も目立ちました。

ユニクロは、おそらく、2億~3億元ぐらい売ったと思われます。

また、花王メリーズは、ベビー用品のカテゴリの1位。これは、おそらく花王の直営店ではなく、数えきれないほど多くの会社が日本から並行輸入しているからでしょう。

それにしても花王メリーズ、みなさんどうやって調達しているですかね。。。

通常は日本よりかなり高く売れるとは言え、双十一は価格競争が熾烈。

まあ、私も中国の保税倉庫で、外に「おむつ」とだけ書かれた段ボールや無地の段ボールを見つけて、ちょっと頼んで中身を見せてもらったら、全部メリーズだった、なんてこともありますので、多くの人がドラッグストアで買い漁って転売している、というレベルではなく、流通過程のあちらこちらで組織的に横流しされていることは間違いないでしょうが。。。

それはともかく、天猫国際に出店する日本企業も概ね好調だったようですし、中国国内の天猫に出している各社もかなり積極的に双十一のセールを展開、そして、中国系の方が天猫国際や天猫運営する日系商品の販売サイトは、日本企業直営のショップよりも売り上げがはるかに大きいことを考えると、低価格な美容商品やベビーなど、ドラッグストア系の商品だけで、少なく見積もっても数十億円は売れたと思われます。そして、ユニクロだけでも数十億円、ということは、日系の商品だけで数百億円は売れたはずで、もしかしたらさらに1ケタ上かも知れません。

 

【非効率の低減】

さて、製造や流通の現場からすると、販売量は安定して漸増するのが一番良いわけで、1日でこれまで数カ月分と同じ量が売れてしまうというのは現場的には悪夢ですし、非効率極まりないわけです。

ただ、これまでは物流現場の混乱とかが大きなニュースになっていましたが、今年は例年に比べて静かな感じがします。

おそらく、物流側が例年の行事として慣れてきただけでなく、キャンペーンサイトや予約販売など、天猫側のほうがしっかり用意し、販売店側も計画的にセールできる環境が整ったことが大きな要因でしょう。

また、アリババ側が、出荷の状況を報告させたり、商品だけでなく物流面も全面的に管理するようになったということも大きいでしょう。

ウェブサイトも、セールのスタート直後に阿里旺旺(チャットツール)が不安定になったりアクセス解析ができなくなったりはしましたが、最初の30分強で100億元の売り上げという、強烈な状況になってもサイトが落ちることもなく、買い物もできたというあたり、システム側の負荷分散などもかなりしっかりされていたようで、こういったところからも、アリババの底力の凄さを思い知らされます。

(片や日本の大手サイトでは、偽ブランド品が堂々と販売されていて、商品コメントに偽物だという指摘が入っていても放置されているし、返金交渉も当事者同士でさせている状態のようですからね。。。Amazonはちゃんと間に入るらしいですが。)

中国は、支付宝のケースを挙げるまでもなく、もうアリババの作ったルールが中国ECの法律になっていく世界で、そして、そのルールは大多数のユーザーに支持され、信頼されているわけですね。。。

 

【個人店舗には厳しい展開】

ただ、こうやってお祭りとして洗練されてくると、小規模のお店にとっては面白くない展開になってきます。

以前であれば、とりあえず天猫・タオバオに大量のアクセスが発生し、個人店舗のPVも増えて、それなりに売り上げが増えたのですが、今年の場合、0時とともに、まずは限定商品の争奪戦、夜が明けても、大手サイトが展開するお買い得品を探すだけで、1日が終わるようになってしまいました。

それなりに大規模に展開し、キャンペーンサイトに商品を出したり広告できたりする会社にとっては、もうあとは調達力勝負です。私が普段から接している分野でも、商品はあればあるだけ売れる状態ですから、あとはいかに調達するか、そしてどこまで在庫リスクを負うことができるかという、まさに体力勝負となっていました。

逆に、タオバオの弱小ショップの場合、、、体力がなければ、もう戦わないというのが一番無難な選択でしょう。昔のように、放っていてもお客さんが来てくれるわけでなく、それどころか、普段よりアクセス数が落ちるわけですから。。。

 

【ブランド浸透の好機を潰す日本企業】

ところで、中国の消費者は、日本メーカーが中国向けに製造したものより、日本向けに製造したものが直接送られてくるほうを好む傾向があります。まあ、グーンの本物そっくりの日本語パッケージの偽物なんかも出回るぐらいですし、消費者が日本商品に求めるものは安心・安全ですから、直送を好むのは理解できます。また、「中国用商品」ということは、日本向けと商品が異なると言っているわけですが、一般的に「中国向け」=「廉価版」のイメージがある場合などもあり、中国の消費者にはあまり歓迎されていないようです。もちろん、化粧品などは、認可されている成分の関係で、日本版と中国版でフォーミュラを変えざるを得ない場合もあるわけですが。

まあ、現在、日本人が普段から使っているのとまったく同じ商品を使いたいと思っている、ある意味「本物指向」の中国の消費者が増えているのは間違いないでしょう。

さて、そんなわけで、いくら中国で中国市場向けの商品を販売していても、そちらの売り下はパッとせず、日本からの並行輸入品だけがガンガン売れる、なんていう商品が多々見受けられます。そういったときの日本の大手メーカーの反応には、

  • 積極
  • 黙認
  • 阻止

の3つのケースがあります。

実は、中国未進出の中小メーカーであれば、「積極的」に「越境販売」されるケースもありますが、すでに現地法人が中国製の商品を中国国内に展開している場合は、カニバリ(というより現地法人・提携先の面子が本音?)への配慮、まだ未進出の場合でも、製造物責任等の問題からか、もしくは手間の問題か、なかなか積極的になれないという事情があります。

そして、稀に、「阻止」に動く企業があります。まあ、製造がまったく追いつかないが、かといって先の見えない中国市場のために国内工場を増やせないとか、中国の現地代理店等との契約で、日本から並行輸入されるわけにはいかないという事情を持っている場合もあるでしょう。

しかし、「阻止」するのは、もったいないなぁと思うのです。

正面から中国市場に入ろうとしても、広告費やら流通ルートの確立はかなり大変な費用と労力が必要です。それが、並行輸入目的の日本国内での買い付けを「黙認」しておくことで、流通業者や消費者が勝手に宣伝し、口コミを作り、市場での知名度を形成するのです。

せっかく誰かが勝手にタダで宣伝してくれるのだから、とりあえず乗っかっておいて、ブランド名とかがある程度浸透してきた時期に、自社で改めて本格進出すればいいのに。。。って思うのは、私だけでしょうか。

中間層の所得が全体的に底上げされ、本物を求める消費者が増えて来ている今の中国市場は、日本のメーカーにとって面白い時期だと思うんですけどね。。。

 

もちろん、横流しを徹底的に「阻止」しようとしているメーカーのほうでは、別にちゃんと中国市場攻略の戦略があって「阻止」されているのだとは思いますが。

日本人名義での淘宝(タオバオ)出店のハードルが下がっていました

弊社の淘宝(タオバオ)のお店は、どれも中国人名義です。

唯依海外代购中心 

(↑日本で管理。2014年6月より本格稼働。)

萌狮物语

(↑上海で管理:いろいろトラブルがあり、2013年後半に新規アカウントに切り替えて立て直し中。何が起きたかは、別に機会に書きたいと思います。)

 

そういうわけで、これまで外国人名義でのタオバオ店舗開設について、あまり意識していなかったのですが、実は去年~今年にかけて、いろいろルールが変わってきていて、実は日本人の名義でもこれまで以上に簡単に出店できるようになっていました。

 

近年、中国で海外ECの商品を買うことことを指す「海淘」という言葉が完全に一般名詞化した感がありますが、アリババグループも、一淘(アリババが運営しているショッピング検索サイト)に一淘海淘というページを作ったりしています。

また、逆に海外でタオバオのサイトを見ると、淘宝海外全球站の案内がでてきて、国外発送に対応していて、国際クレジットカードで購入可能なお店(すなわち、支付宝(Alipay)アカウントがなくてもで購入できるお店)が特集されているなど、近年、急速に国際化しています。

そして、アリババの上場等も影響しているのかどうか定かではありませんが、国際化の動きは、消費者向けだけでなく、企業向けにも広がっています。(まあ、もちろん、アリババはもともと国際B2Bのマッチングですが、今回はB2Cのお話です。)

以前から支付宝国际(アリペイ国際)というものはあり、中国国外の企業でも自社ECサイトで支付宝(アリペイ)を用いて決済し、中国に商品を送ることは可能でしたが、2013年にTmall国際(天猫国际)がオープンし、中国国外の企業もタオバオ・Tmallのプラットフォーム上に直接出店することが可能になりました。

タオバオについては、以前から外国人でも出店は可能でしたが、まず出店用のアリペイのアカウントの認証に中国人の保証人が必要など、いろいろ面倒な手続きが必要でした。

 

ところが、です。

まず、アリペイのアカウントについて、外国人に対する本人認証の仕組みが変更になり、中国人の保証人が不要になっていました。(おそらく2013年に変更)

その代わりに、本人の証明書類として、これまでのパスポートの写真に加え、ビザの写真が必要となったのですが、実は、日本人の場合は、中国に入国した際に押される入管の印の押されたページを、パスポートの写真のページと一緒に写るように撮影してアップロードすれば承認されます。(2014年10月時点) ただし、チャットで問い合わせても「ビザが必要」の一点張りの回答が返ってきますが。

アリペイの本人認証は、実は出店する場合だけでなく、中国で、Tmall国際やAlipay国際で商品を購入する際にも必須になることや、中国人保証人を義務付けても、業者経由でまったく見ず知らずの中国人が保証人として登録されるケースが多いことから、廃止になったのではないかと想定されます。

なお、アリペイの本人認証の際に、パスポートと同じ名義の中国の銀行の銀行口座に1元未満の入金が行われ、その金額を確認するというステップがあります。いまは、中国で銀行口座を開くにはパスポートの登録が必須になっていますので、銀行口座開設の際の本人認証が存在することを確認することで、アリペイとしての本人認証を済ませているとも言える仕組みになっています。

 

次に、タオバオの認証用の携帯電話番号について、日本の携帯電話の番号が登録できるようになりました。

これは、いつそうなったのか全く分からないのですが。。。(実は昔からできたよ、なんてことはないと思うのですが。。。少なくとも私が自分のアカウントを作った2009年あたりは。。。)

なお、実際には、中国の銀行口座のネットバンクで、ログインや送金の認証で携帯のSMSが用いられることが多く、その携帯は中国の携帯番号である必要があることから、実際には、中国の携帯電話を持っておくに越したことはないのですが。

ただ、認証のためのSMSの料金負担は発信者ですので、国際SMSの費用も面倒を見れくれるとは、アリババはなんて太っ腹、と思わず感心してしまいました。(なお、アリペイの認証でSMSを使うと、0.6元/月の費用がかかりますが、利用しなくてもタオバオのショップは開店できます。)

 

さらに一点、これまでタオバオを開店する際に、事前にオンラインでテストを受ける必要があったのですが、これが最近、廃止になっていました。まあ、代行でテストを誰かに受けてもらう人が多くて、意味がなので廃止にしたのでしょうか。。。

このテストでは、タオバオの細かいルールとかも出て来たりしていたので、これが廃止になって、外国人にとってはかなり開店作業が楽になったとは言えます。ただし、タオバオのルールをちゃんと理解していないと、思わぬところでペナルティを喰らうこともありますし、そもそも、ショップの管理画面は中国語、本格的に売るには中国語でのチャットが必須なので、真面目に考えれば特に何も楽になっていないのですが。

 

 

さて、そんなわけで、今なら、

  • 一度、中国に行く(ノービザでOK)、
  • 一応、携帯電話を契約して(安くて良い端末もいっぱいありますので、SIMだけでなく電話機もお得です。)、ローミング設定の手続きを行う。(ローミングを忘れると日本でSMSが受信できません。ローミング設定はキャリアによってルールが異なりますが、SIMを購入して同時に無期限のローミング設定をするには、例えば联通だと500元のデポジットを払う必要があります。)
  • 銀行口座を開設。(どこでも良いのですが、アリペイで快捷支付の手続きとかもするのであれば、今は中国工商銀行が無難でしょう。ただし、いろいろ手数料が高いので要注意)

をすれば、あとは日本にいてもタオバオ店舗の開設手続きが出来てしまいます。

 

次回は、その手順について書こうと思います。(変更の可能性ありですが)