中国跨境B2Cの状況(その1:これまでの概要)

 

気付いたら、ずいぶん長い間、ブログを書いていませんでした。。。

ホームページの内容は、数か月前に少し直したんですけどね。

実は香港と何度も往復する生活をしていて、大陸の件からは少し離れておりました。

本業が物流という仕事柄、セントラルのほうにはほとんど用事がないのですが、旺角あたりはよく泊まるので、オキュパイ・セントラルがセントラルを超えて旺角に来る前に仕事を一段落させることができて、ほっとしております。

 

最近、中国の越境ECの物流の仕組みについて、ちらほら質問を受けるようになりました。

きっかけは、日中関係に雪融けの兆しが出てきたからなのか、ヤマトグローバルさんがチャイナダイレクトの営業を本格化させたのか、それとも、アリババの上場なのか。。。

まあ、どれも少しずつ関係しているのでしょう。

 

そこで、まず、これまで中国の個人向けに商品を発送する際にあった問題を整理してみましょう。

昔も今も、中国個人向けの出荷のほとんどは、EMSです。

EMSについては、とにかく「高い」というのが一番の問題です。EMSの場合は、物量があれば、最大26%引きになるのですが、それでも、1000円や5000円ぐらいの商品を送るのには、かなり割高になってしまいます。

そのため、SALや船便を使う方もいらっしゃったとは思うのですが、SALや船便については、やはり所要日数に難点があります。また、SAL便については、少量の場合は決して安くもないので、中国の中間層の方からの需要の多い、食品や雑貨などの安価な商品を少量送るのには決して向いていないというのが現実です。

民間の物流会社については、FedexやDHLなどで個人向けに送るのは金額的にも法制度的にも困難でしたが、小規模な物流会社を使えば、一応、EMSよりも安く送ることが、2010年ごろまでは可能でした。ただ、その実態は、B2Bのアパレル等の梱包の中に商品を紛れ込ませたり、ヤミ通関だったり、ということで、非常に危険なものだったようです。

そのような中、2012年より、日本郵政から、Eパケットというサービスがリリースされました。実質は、国際郵便の書留と速達を組み合わせせたもので、2kgまでという制約はありましたが、一見有用なサービスに見受けられます。

しかしながら、中国向けのEパケットには大きな問題があり、現時点でもまだ解決されていません。

それは、「中国国内の貨物追跡がほぼ不可能」「荷物がお客様の手元まで配達されず、郵便局留めになる確率がかなり高い」という問題です。

中国国内では、EMSと郵便物はまったく別物として管理されます。

そして、大きな郵便物は、配達もされず、不在票もなく、ただ郵便局に放置される、などということが、頻繁に発生するのです。これは、地方だけでなく、上海などの都市部でも、地域によっては発生します。そして、弊社の2014年上半期の実績でも、なんと5件に1件ぐらいの割合でこういう問題が発生するのです。(日本郵政のEパケットだけでなく、シンガポールポストの同様のサービスでも、同様の問題が発生します。)

 

個人輸入については、スピードとコストだけでなく、関税という問題が必ず発生します。

これは、中国だけの問題ではなく、日本で個人輸入する場合も同じです。

http://www.customs.go.jp/tsukan/kojinyunyu.htm

 

ただ、2010年ごろまでは、比較的管理も甘く、前述の民間会社のヤミ通関なども、かなり堂々と行われていました。

これが大きくかわるきっかけになったのは、タオバオが立ち上げた淘日本と、それに対抗するかのように出てきた税関当局からの「海关总署公告2010年第43号」なのです。

その顛末については、下記の書籍で触れていますので、ここでは割愛します。

「アウェイ」で攻める! 中国市場向け通信販売のノウハウ

 

さて、中国で個人輸入が徐々にブームになりはじめ、「海关总署公告2010年第43号」により、「課税金額50元以上」については課税という方針が明確になったところで、「跨境贸易电子商务服务试点」という、海外の商品をECを通して購入し、民間の物流会社により、特定の保税倉庫で通関してお客様に届けるスキームが始まるわけです。

 

(つづく)

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