日本人名義での淘宝(タオバオ)出店のハードルが下がっていました

弊社の淘宝(タオバオ)のお店は、どれも中国人名義です。

唯依海外代购中心 

(↑日本で管理。2014年6月より本格稼働。)

萌狮物语

(↑上海で管理:いろいろトラブルがあり、2013年後半に新規アカウントに切り替えて立て直し中。何が起きたかは、別に機会に書きたいと思います。)

 

そういうわけで、これまで外国人名義でのタオバオ店舗開設について、あまり意識していなかったのですが、実は去年~今年にかけて、いろいろルールが変わってきていて、実は日本人の名義でもこれまで以上に簡単に出店できるようになっていました。

 

近年、中国で海外ECの商品を買うことことを指す「海淘」という言葉が完全に一般名詞化した感がありますが、アリババグループも、一淘(アリババが運営しているショッピング検索サイト)に一淘海淘というページを作ったりしています。

また、逆に海外でタオバオのサイトを見ると、淘宝海外全球站の案内がでてきて、国外発送に対応していて、国際クレジットカードで購入可能なお店(すなわち、支付宝(Alipay)アカウントがなくてもで購入できるお店)が特集されているなど、近年、急速に国際化しています。

そして、アリババの上場等も影響しているのかどうか定かではありませんが、国際化の動きは、消費者向けだけでなく、企業向けにも広がっています。(まあ、もちろん、アリババはもともと国際B2Bのマッチングですが、今回はB2Cのお話です。)

以前から支付宝国际(アリペイ国際)というものはあり、中国国外の企業でも自社ECサイトで支付宝(アリペイ)を用いて決済し、中国に商品を送ることは可能でしたが、2013年にTmall国際(天猫国际)がオープンし、中国国外の企業もタオバオ・Tmallのプラットフォーム上に直接出店することが可能になりました。

タオバオについては、以前から外国人でも出店は可能でしたが、まず出店用のアリペイのアカウントの認証に中国人の保証人が必要など、いろいろ面倒な手続きが必要でした。

 

ところが、です。

まず、アリペイのアカウントについて、外国人に対する本人認証の仕組みが変更になり、中国人の保証人が不要になっていました。(おそらく2013年に変更)

その代わりに、本人の証明書類として、これまでのパスポートの写真に加え、ビザの写真が必要となったのですが、実は、日本人の場合は、中国に入国した際に押される入管の印の押されたページを、パスポートの写真のページと一緒に写るように撮影してアップロードすれば承認されます。(2014年10月時点) ただし、チャットで問い合わせても「ビザが必要」の一点張りの回答が返ってきますが。

アリペイの本人認証は、実は出店する場合だけでなく、中国で、Tmall国際やAlipay国際で商品を購入する際にも必須になることや、中国人保証人を義務付けても、業者経由でまったく見ず知らずの中国人が保証人として登録されるケースが多いことから、廃止になったのではないかと想定されます。

なお、アリペイの本人認証の際に、パスポートと同じ名義の中国の銀行の銀行口座に1元未満の入金が行われ、その金額を確認するというステップがあります。いまは、中国で銀行口座を開くにはパスポートの登録が必須になっていますので、銀行口座開設の際の本人認証が存在することを確認することで、アリペイとしての本人認証を済ませているとも言える仕組みになっています。

 

次に、タオバオの認証用の携帯電話番号について、日本の携帯電話の番号が登録できるようになりました。

これは、いつそうなったのか全く分からないのですが。。。(実は昔からできたよ、なんてことはないと思うのですが。。。少なくとも私が自分のアカウントを作った2009年あたりは。。。)

なお、実際には、中国の銀行口座のネットバンクで、ログインや送金の認証で携帯のSMSが用いられることが多く、その携帯は中国の携帯番号である必要があることから、実際には、中国の携帯電話を持っておくに越したことはないのですが。

ただ、認証のためのSMSの料金負担は発信者ですので、国際SMSの費用も面倒を見れくれるとは、アリババはなんて太っ腹、と思わず感心してしまいました。(なお、アリペイの認証でSMSを使うと、0.6元/月の費用がかかりますが、利用しなくてもタオバオのショップは開店できます。)

 

さらに一点、これまでタオバオを開店する際に、事前にオンラインでテストを受ける必要があったのですが、これが最近、廃止になっていました。まあ、代行でテストを誰かに受けてもらう人が多くて、意味がなので廃止にしたのでしょうか。。。

このテストでは、タオバオの細かいルールとかも出て来たりしていたので、これが廃止になって、外国人にとってはかなり開店作業が楽になったとは言えます。ただし、タオバオのルールをちゃんと理解していないと、思わぬところでペナルティを喰らうこともありますし、そもそも、ショップの管理画面は中国語、本格的に売るには中国語でのチャットが必須なので、真面目に考えれば特に何も楽になっていないのですが。

 

 

さて、そんなわけで、今なら、

  • 一度、中国に行く(ノービザでOK)、
  • 一応、携帯電話を契約して(安くて良い端末もいっぱいありますので、SIMだけでなく電話機もお得です。)、ローミング設定の手続きを行う。(ローミングを忘れると日本でSMSが受信できません。ローミング設定はキャリアによってルールが異なりますが、SIMを購入して同時に無期限のローミング設定をするには、例えば联通だと500元のデポジットを払う必要があります。)
  • 銀行口座を開設。(どこでも良いのですが、アリペイで快捷支付の手続きとかもするのであれば、今は中国工商銀行が無難でしょう。ただし、いろいろ手数料が高いので要注意)

をすれば、あとは日本にいてもタオバオ店舗の開設手続きが出来てしまいます。

 

次回は、その手順について書こうと思います。(変更の可能性ありですが)

 

中国跨境B2Cの状況(その3:中国向けEC検討の際の留意点)

(承前)

さて、ここまで、「跨境贸易电子商务服务试点」(越境EC試験区)の概要について整理してきました。

以前にもちょっと触れましたが、日本から中国向けECを検討する際に、重要なのは、

・ 為替(中国消費者の中国元を、いかに日本円にして回収するか)
・ 配送(どのようにして中国の消費者に商品を届けるか)

の2点です。

今回は、これらのポイントについてまとめておきます。

【為替】

ご存知のとおり、中国元と外貨との両替はまだ自由化されておらず、原則として、貿易など実需に基づく両替のみが認められていて、両替時にはエビデンスを提出する必要があります。
旅行や越境ECでの個人輸入での購入などのため、エビデンスなしに中国元から外貨に両替する場合、中国人であれば、年間5万ドルまでの両替枠と身份证が紐づけられていて、中国人1人あたり5万ドルが限界となります。外国人の場合も、中国元⇒外貨については、いろいろ規制があり、少額であればともかく、ビジネスとしてエビデンスなしに両替するのは困難です。

そのため、中国向けに越境EC(跨境B2C)を行う場合、商品の代金をどの通貨で回収するのか、留意する必要があります。
単純に、「タオバオでお店を作って、商品を日本からEMSで発送し、アリペイに入金されたお金を日本円に両替しよう」としても、このときの個人輸入については、販売者側に通関・貿易のエビデンスも残らないため、貿易に基づく両替とはなりません。少額であれば何とでもなりますが、売上が一定規模を超えると厳しいわけです。

中国のEC取引流通額の約4分の3は、天猫(Tmall)/淘宝(タオバオ)のプラットフォームになるわけですが、天猫は中国法人がなければ出店できませんのでそもそも越境ECとしては使い勝手が悪いです。淘宝(タオバオ)は、日本人が個人で出店することも可能ですし、出店料や販売手数料がかからないというのが何より魅力なわけですが、あくまでC2Cのプラットフォームであり、本格的にビジネスを展開するには、両替の面で厳しい問題が発生します。
天猫(Tmall)/淘宝(タオバオ)のプラットフォームでお客様が検索でき、かつ、日本の法人が出店し、日本から中国のお客様に商品を送るとなると、一番現実的な方法は、天猫国際(Tmall国際)ということになります。この天猫国際は、支付宝国际(アリペイ国際)と回収スキームを用いており、お客様は元建ての支払いとなりますが、支付宝(アリペイ/Alipay)のほうで外貨に両替した上で、出店企業には、出店企業の指定する通貨に両替して振込まれます。お客様が支付宝国际(アリペイ国際)で支払う場合、事前に、身分証やパスポート番号を登録して本人認証を済ませておく必要があるため、おそらく、外貨管理上は、支払ったお客様の両替枠で両替したということになるのでしょう。

 

【配送】

配送については、大きく「郵政のスキーム」と「民間のスキーム」に分けることができます。

郵政のスキームとしては、

  • EMS
  • 国際eパケット
  • SAL
  • 船便

といった方法が挙げられます。

郵政のスキームを用いる場合、先に述べた関税については、課税される場合はお客様が受け取り時に郵便局で支払うことになります。簡易課税の税率は、最低でも10%ですので、理屈の上では、500元相当以上の場合は関税がかかるわけですが、当然、通関時に全件チェックなどはされていません。

よく、「1000元未満は実際には関税を徴収されることはない」「チェック対象になるのは、全体の1割程度」などと言われていますが、弊社や私の周囲の状況を見ていても、実質その程度という感じがします。ただし、「大きな箱」「同じ形のものがたくさん入っている」ものは、比較的チェックされやすい感じで、逆にインボイス上の申告金額はあまり関係ないと感じています。

弊社から出荷する場合、アンダーバリューは一切受け付けず、インボイスにはすべて正しい金額を記入した上で、関税については受取人のほうで責任をもってもらうようにしていますが、1万元ぐらいのものであっても、単品で発送した場合、実際に関税が徴収されているのは1割ぐらいのようです。もちろん、徴税されてもお客様からこちらに報告されていないケースもあるはずですが。

 

さて、各配送方法の特徴です

<EMS>

越境ECの定番と言うべき配送方法です。中国向けについても、比較的早く、上海や北京あたりだと2~3日で到着しますし、配送の品質も高いです。

ただ、値段の高さはどうしても問題になります。

<国際eパケット>

郵便小包と書留を組み合わせたサービスです。2kgまでという制約があります。

EMSより格安というのが謳い文句なのですが、中国向けについては注意が必要です。

それは、

  • 「大都市の中心部以外は配達が遅い」
  • 「そもそも、家まで配達されないケースが多い」
  • 「中国国内のトレースがリアルタイムにできない」

ということです。

上海の中心部の事務所等に送る場合は、EMSとほぼ同じ日数で着く場合もありますが、たとえ都会の中心部であっても、郵便局留めになって配達してもらえないことがあります。まったく配送にいかない場合と、不在時に不在票もいれずに持ち帰ったまま、何も連絡がこないケースがあるようです。弊社の経験だと、1割~2割の荷物が最後まで配達されず、お客様が郵便局に問い合わせて引き取りに行ったり、配送不能で戻ってきたりしています。

そして、上海や北京の空港を経由して別の都市に配送される場合、そこからさらに1週間ぐらいかかるケースが多いです。さらに、その先の配送状況が、日本の郵政の画面だけでなく、中国の郵政の荷物追跡システムにもリアルタイムに反映されないため、お客様からクレームがきた場合に、現在荷物がどこにあるのかを把握するのにかなりの手間がかかります。

EMSのほうがかなり品質が安定している上に、EMSの場合は、出荷件数に応じて割引がありますので、月間500件以上の出荷がある場合などは、中国向けに国際eパケットを使うのは避けたほうが良いでしょう。

 

<国際小包(SAL便/船便)>

当然、安くなりますが、時間もかかります。

物量が多くなると、EMSとの金額差が大きくなるため、弊社のケースでは、お客様が大量の商品を購入された上に、「遅くてもよいから送料を安くしてほしい」と依頼された場合に用いることになります。

SALで2週間、船便は1ヶ月以上かかることが前提になりますので、受取人も仕組みをしっかり理解していないと、トラブルになります。

実際、B2Bならともかく、通常の越境EC(跨境B2C)で、特に信頼関係も構築されていない一般のお客様向けの出荷において、これらを用いることはあまり考えられないでしょう。

 

さて、次に民間のスキームです。

これまで、個人輸入の荷物は、中国側ではすべて郵政通関するしかなかったわけですが、この度、「跨境贸易电子商务服务试点」(越境EC試験区)の登場によって、民間の物流網にて日本から中国の個人のお客様に配送するという選択肢が出てきました。

まず、一番簡単な方法が、ヤマト運輸(正確にはヤマトグローバルロジスティクス)が提供する「チャイナダイレクト」です。

こちらは、上海の試験区を用いて、CNPEXと組んで始めたサービスです。

将来的にはかなり有望な配送手段なのですが、現時点では以下のような課題があります。

  • 受取人は、事前に専用サイトから身分証の登録を行わなければならない。
    • 身分証の登録については抵抗のあるお客様も多く、身分証の登録が必要であればキャンセルするというケースもよくあります。
    • ヤマトグローバルロジスティクスの専用サイトで身分証の写真をアップロードするわけですが、その画面にお客様を誘導するために、かなりの説明が必要になります。(将来API等が公開されれば、自社サイトであれば、自社サイト内で登録させることは可能になると思われますが、タオバオなど中国のECモールに出店している場合、ヤマトグローバルロジスティクスの画面に身分証の登録をしてもらうには、この会社の説明等をしっかり実施して納得していただく必要があります。もちろん、将来、このチャイナダイレクトが中国消費者の間で有名になり、信頼されるようになれば、ハードルはかなり下がりますが。)
  • 現時点ではEMSとの料金の差がそれほど大きくない
    • ヤマトグローバルロジスティクスが出している基本料金はかなり高いですが、実際には法人向けの割引があります。ただし、少量の荷物であれば、割引後の運賃とEMSとの料金差はそれほど大きくありません。
    • 重量が大きくなればEMSとの料金差も広がりますが、チャイナダイレクトの場合は、事前申告で関税を納めなければなりません。送り主が納付するので、EMSのように、受け取り時に関税が発生して受け取り拒否になることはないのですが、EMSで発送した場合に、本来関税がかかるべき量の荷物であっても実際には関税が徴収されないことのほうが多いことを考慮すると、この関税も実質運賃として計算する必要があり、商品によっては(特に化粧品など関税が50%の商品)、送料+関税の実質負担額がEMSの場合よりも高くなりがちです。
    • チャイナダイレクトは、現時点では羽田まで送り主が商品を届ける必要があります。国内でそれなりに出荷していて、国内の配送料金が安く、かつ中国向けに毎日確実に2桁の出荷がある場合はまだ良いのですが、1回に1件や2件だと、日本国内の運賃がバカにならないという課題があります。
  • 事前にヤマトグローバルロジスティクスのほうで商品登録をしておかないといけない
    • 配送する商品については、事前にヤマトグローバルロジスティクスのほうで審査とマスター登録を行うことになります。メーカーであれば問題ないですが、お客様からの依頼を受けて都度、商品を手配して発送している、いわゆる代購(代购)にとっては、ちょっと使いづらい仕組みとなります。

 

民間で、チャイナダイレクト以外の手段となると、越境EC試験区(跨境贸易电子商务服务试点)で倉庫業務を行っている中国の物流会社と直接契約し、日本国内から、フォワーダーを経由して、越境EC試験区(跨境贸易电子商务服务试点)に荷物を配送し、そこで通関後に、中国国内の宅配業者を用いて配送することになります。

この場合、自社の出荷拠点から越境EC試験区(跨境贸易电子商务服务试点)までのコストをどこまで抑えられるかがポイントです。

まず、1日に100kg以上の物量がある場合は、間違いなく、自社でフォワーダーと越境EC試験区(跨境贸易电子商务服务试点)の物流業者を見つけて、直接契約するのが最も良い方法になるでしょう。1件あたり平均1kgとすると、毎日100件以上の出荷件数が目安です。50kgぐらいでもフォワーダーとうまく交渉できれば、十分に利用価値があります。

逆に、1日に10件程度であれば、サービスレベルを落として、週2回配送とかにすればEMSよりは安くなるケースが多いと思われますが、この程度の件数だと、無理をせずにチャイナダイレクトを使ったり、EMSで割引を貰いながら出荷するほうが良いかも知れません。

なお、越境EC試験区(跨境贸易电子商务服务试点)を利用する場合も、関税はすべて申告して納税しなければなりません。そのため、100元以上の化粧品(シャンプー、せっけん等も含む)などを販売する場合は、関税にも考慮する必要があります。それに対し、食品や雑貨など、税率10%の商品が中心で、中国の若い世代向けであれば、1回あたりの購入単価も500元未満で免税となりがちで、実際の関税の負担は、出荷金額の数%程度に収まるケースが多いでしょう。

 

 

ところで、今月、日本郵便から、UGX(ゆうグローバルエクスプレス)というサービスが発表されました。

まだ詳細についてはわかりませんが、中国もサービス対象に入っているようなので、どのようなサービスが発表されるのか楽しみにしております。

 

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跨境B2Cのお話はしばらく休憩にして、次回からは「日本人でも簡単にタオバオにお店が作れるようになった!!」というお話をしたいと思います。

中国跨境B2Cの状況(その2:跨境贸易电子商务服务试点)

(承前)

さて、「跨境贸易电子商务服务试点」ですが、これは、実質、「越境ECにおける通関業務の試験区」のようなものです。2012年、ちょうど尖閣問題で日中間の関係がギクシャクする中、欧米との間では、すでに準備が進められていたようですが、実際に、表に出てくるのは、2013年の「署科函[2013]59号」です。

これまでは、基本的にはEMSで輸入されていたため、

  • 通関は郵政で行う。
  • その結果、全品検査は実質不可能なので、ランダムチェックで、みつかったものだけ課税する
  • 納税は受取人
  • 一応、「海关总署公告2010年第43号」でルールは定められているが、実際には商品の評価金額などの基準が不透明で運用も不透明

というものでした。

この「海关总署公告2010年第43号」のルール自体は変更しないが、

  • 郵便ではなく、一般の商業貿易の保税拠点を使う
  • 販売者と保税拠点でデータを連携し、販売者のほうが納税する
  • 課税基準となる商品の評価金額は、商品代金・物流費を含め、消費者が販売者に支払った金額とする

というのが、この制度の要諦となり、「海关总署公告2010年第43号」によって、まずは上海、杭州、宁波、郑州、广州、重庆の6都市で試験が行われることになりました。(2014年には深圳、苏州、青岛、长沙、平潭、银川、牡丹江、哈尔滨、西安の9都市にも拡大されています。)

 

さて、中国は、昔の共産主義の思想はどこえやら、すべて競争で成り立ち、競争によって成長している過酷な国です。

今回のこの試験区についても、各都市の保税区が、いかに有望な企業を誘致し、取扱高を増やすか競う状況なっています。(もちろん、徴税額も競っているのでしょう。販売者側は、いかに課税されないようにするかに知恵を絞るのですが、これについてはまた後ほど。)

そして、各都市が競った結果、各都市が同じようなサイトを立ち上げて、起業や商品の紹介・宣伝、そして都市によってはモールを作って販売までしています。(どいつもこいつもメリーズだらけで眩暈がしそうですが。。。)

重慶については、あまりよろしくない噂を小耳に挟んだりしますが、広州については、「とりあえず流通総額3億元で、6都市のうちではトップだ」などど言っています。

http://guangzhou.customs.gov.cn/publish/portal31/tab60991/info717760.htm

そして、後発組の深圳も、着々と準備を進めている様子が窺えます。

http://www.szqh.gov.cn/ljqh/qhwbsgq/cxfz/kjdzsw/

 

上記の中で、販売者のサイトを紹介している寧波、杭州、鄭州については、紹介されているショップのうちのいくつかは、天猫国際(tmall.hk)の中の店舗サイトにリンクされています。実際、この3都市は天猫国際公認という説もあります。(http://tech.163.com/14/0403/16/9OU0U5RV000915BF.html

天猫国際については後日、また触れようとか思いますが、「跨境贸易电子商务服务试点」はこれから天猫国際・支付宝(アリペイ)国際とあわせてさまざまな試行を行い、物流データと決済データの連携、為替管理の仕組みなどを整えながら、中国全土に開放されていくというのが今後の流れの本命でしょう。

 

ところで、上記のうち、上海については、8月下旬に、米アマゾンとの提携が発表され、日本でもニュースになりました。

また、ヤマト運輸の「チャイナダイレクト」も上海の試験区を用いているため、日本で情報を集めていると、どうしても上海だけが目立ってしまいます。(特に「上海自由貿易試験区」と混同されたりもします。)

「跨境贸易电子商务服务试点」を用いた貿易に関係している人々の間では、上海はどちらかというと「保守的」で、「あまり積極的ではない」と囁かれています。実際、アマゾンとの提携までは、他の都市と比べて、あまり外部に積極的に営業している雰囲気はありませんでした。(洋码头天猫国際のお店のように、店舗側が独自に上海を利用するケースはあったようですが。)

 

さて、この「跨境贸易电子商务服务试点」ですが、実は、この試験区の保税倉庫に商品を在庫し、お客様から注文が入ったら、個別に通関して出荷、などということも、各地で行われています。(まあ、これも試験ですね)

中国の場合、商検局の承認がなければ本来、販売できない商品が数多く存在します。健康食品やシャンプー・せっけん類を含む化粧品類のSFDA/CFDAや、電化製品・玩具類のCCCなどが有名なところです。

特に健康商品・化粧品については、CFDAの許可を得るのに多額の費用と時間がかかることから、まずは海外からの通販と、特定の許可された展示会場での展示即売会などがよく行われます。

上海自由貿易試験区では、保税倉庫での消費者への直売などというのも始まっていますし、「跨境贸易电子商务服务试点」の保税倉庫に商品を在庫して販売するのも、実は、海关(税関)にとっては関税の徴税率の向上になるのですが、商検局から見ると、CFDA/CCC逃れになるという側面があります。

 

「跨境贸易电子商务服务试点」の今後の展開は、商検局との関係が重要になってくると思われますが、こちらについても、また後日、触れようと思います。

 

(つづく)

中国跨境B2Cの状況(その1:これまでの概要)

 

気付いたら、ずいぶん長い間、ブログを書いていませんでした。。。

ホームページの内容は、数か月前に少し直したんですけどね。

実は香港と何度も往復する生活をしていて、大陸の件からは少し離れておりました。

本業が物流という仕事柄、セントラルのほうにはほとんど用事がないのですが、旺角あたりはよく泊まるので、オキュパイ・セントラルがセントラルを超えて旺角に来る前に仕事を一段落させることができて、ほっとしております。

 

最近、中国の越境ECの物流の仕組みについて、ちらほら質問を受けるようになりました。

きっかけは、日中関係に雪融けの兆しが出てきたからなのか、ヤマトグローバルさんがチャイナダイレクトの営業を本格化させたのか、それとも、アリババの上場なのか。。。

まあ、どれも少しずつ関係しているのでしょう。

 

そこで、まず、これまで中国の個人向けに商品を発送する際にあった問題を整理してみましょう。

昔も今も、中国個人向けの出荷のほとんどは、EMSです。

EMSについては、とにかく「高い」というのが一番の問題です。EMSの場合は、物量があれば、最大26%引きになるのですが、それでも、1000円や5000円ぐらいの商品を送るのには、かなり割高になってしまいます。

そのため、SALや船便を使う方もいらっしゃったとは思うのですが、SALや船便については、やはり所要日数に難点があります。また、SAL便については、少量の場合は決して安くもないので、中国の中間層の方からの需要の多い、食品や雑貨などの安価な商品を少量送るのには決して向いていないというのが現実です。

民間の物流会社については、FedexやDHLなどで個人向けに送るのは金額的にも法制度的にも困難でしたが、小規模な物流会社を使えば、一応、EMSよりも安く送ることが、2010年ごろまでは可能でした。ただ、その実態は、B2Bのアパレル等の梱包の中に商品を紛れ込ませたり、ヤミ通関だったり、ということで、非常に危険なものだったようです。

そのような中、2012年より、日本郵政から、Eパケットというサービスがリリースされました。実質は、国際郵便の書留と速達を組み合わせせたもので、2kgまでという制約はありましたが、一見有用なサービスに見受けられます。

しかしながら、中国向けのEパケットには大きな問題があり、現時点でもまだ解決されていません。

それは、「中国国内の貨物追跡がほぼ不可能」「荷物がお客様の手元まで配達されず、郵便局留めになる確率がかなり高い」という問題です。

中国国内では、EMSと郵便物はまったく別物として管理されます。

そして、大きな郵便物は、配達もされず、不在票もなく、ただ郵便局に放置される、などということが、頻繁に発生するのです。これは、地方だけでなく、上海などの都市部でも、地域によっては発生します。そして、弊社の2014年上半期の実績でも、なんと5件に1件ぐらいの割合でこういう問題が発生するのです。(日本郵政のEパケットだけでなく、シンガポールポストの同様のサービスでも、同様の問題が発生します。)

 

個人輸入については、スピードとコストだけでなく、関税という問題が必ず発生します。

これは、中国だけの問題ではなく、日本で個人輸入する場合も同じです。

http://www.customs.go.jp/tsukan/kojinyunyu.htm

 

ただ、2010年ごろまでは、比較的管理も甘く、前述の民間会社のヤミ通関なども、かなり堂々と行われていました。

これが大きくかわるきっかけになったのは、タオバオが立ち上げた淘日本と、それに対抗するかのように出てきた税関当局からの「海关总署公告2010年第43号」なのです。

その顛末については、下記の書籍で触れていますので、ここでは割愛します。

「アウェイ」で攻める! 中国市場向け通信販売のノウハウ

 

さて、中国で個人輸入が徐々にブームになりはじめ、「海关总署公告2010年第43号」により、「課税金額50元以上」については課税という方針が明確になったところで、「跨境贸易电子商务服务试点」という、海外の商品をECを通して購入し、民間の物流会社により、特定の保税倉庫で通関してお客様に届けるスキームが始まるわけです。

 

(つづく)